俺の過去は今この瞬間を楽しむために存在してきたようなものだと思う。ひたすら勉強をして、経験を積んで、一流の企業を自分で建てる。今で言うスタートアップ企業というものだろうか。そこまでに至る過程は本当に苦難の連続だった。まず何をすれば起業をできるのかすら分からなかったし、何をすれば儲かるのかも分からなかった。でもとにかく何かを始めなければならないとひたすら考えて考えて、そして行動を起こして、その結果手に入れたのがこのオフィスと名誉だ。
何よりも今過ごしているこのオフィスは、今のオレ自信を表現するのにふさわしいほどに素晴らしい。なぜなら、地位のある人間が求める高層ビルの一角であり、しかもガラス張りという環境。そこから外を見れば都会の街並みが一望でき、あたかもその街全てが自分によって動いているのではないかと錯覚してしまうほどだ。いや、それは一部錯覚ではあるが一部は本当だと思う。なにせ自分の会社がある程度の経営力を持っているということは、それだけ社会に影響を与えていると言えるからだ。だからこそ、オレはこのガラス張りの高層ビルのオフィスから時折外を見て、自分の仕事の重要性、そして自分が社会を動かしているから頑張らなければという意識を常に自分自身に言い聞かせている。
このガラス張りのオフィスに事業所を移してからというもの、業績もかなり上昇している。それだけこのガラス張りのオフィスの美しさ、そして高層ビルという特異性が自分の仕事に対するモチベーションだけではなく、その他の社員の労働意欲や意識にも影響を与えているのかもしれない。「自分はこんなすごいところで仕事ができる会社に勤めているんだ!」という優越感とかね。
このオレの自慢のオフィスに居られるのは業績がこれからもずっと安定していてくれることが必須条件なわけだから、今現在の優越感と労働環境を保持するためにも、ずっと安定した経営を実現したいものだ。